INFORMATION

RACING WORLD

トライアル世界選手権チェコ大会参戦レポート

2007年バイクトライアル世界選手権第1戦チェコ大会が、同国南西部山間の
保養地Blansko(ブランスコ)西方の森林を会場に開催された。
欧州の選手にとって、スケジュール・費用の面で日本大会等のアジアラウンドには
参加が困難な場合があるが、ヨーロッパラウンドでは各国の強豪が集結し最高の
レベルでの戦いが繰り広げられた。

長屋がエントリーしたマスタークラスは、国際連盟から認定された25名のみが
在籍を許される26インチ車輪部門の最高峰選抜クラスで、スペイン, イギリス,
チェコ, スロバキア, フランス, イタリアの他、バイクトライアル強国から多くの
選手がエントリーしている。
長屋は体調管理や気候・競技会場の地形を把握するため8/2にチェコ入りし、
その日の午後から8/4まで繰り返し大会会場を訪れ、コース(セクション)を徒歩で
チェックした。 (競技は10セクション×2ラップで争う)
※バイクトライアルでは競技当日に使用するセクションは、自転車による試走が
一切禁じられている。

会場での長屋の知名度は高く、昨年の世界選手権エキスパートクラスで全4戦中
2戦優勝しており、その名と実力は全てのマスタークラス選手からマークされていた。

  

抽選によりマスタークラス出走13名中9番目のスタートになり、ライバル選手の走りと
足着き減点数を確認した後に走ることが出来る良いスタート順だったが、第1セクション
ではライバルが一様に入念な下見を繰り返しており、特に優勝候補選手達はなかなか
走ろうとしない。率先してトライした選手が次々と最大減点5点を取る中、長屋は緊張を
ほぐしきれないままセクションインしたものの、年頭から大会直前まで猛練習した体は
自然に動き、減点2点でセクションアウトし、まずまずのスタートを切る。

コンディションのピークを8月に持ってきた長屋の走りはバランス・精度・パワー・集中力の
全てが充実しており、ライバルの走りに勝るとも劣らない。
若い選手はクリーン(足着き無し)か5点減点か、というリスクの高い走りを選ぶ中、長屋は
失敗の確率が高いと判断したポイントでは1~2回に限り足着きも辞さない方針を選び、
減点を最小限に留めていく。
一方で走破できる確信を持ったセクションでは助走が全く取れない状況でも、高さ160cmの
垂直な段差や1車身以上の谷超えジャンプを足着き無しで駆け抜けていく。
メイン会場中央に設置された第10セクションは、トラクター用タイヤ, 角材, パレットで構成
された人工セクションで高低差も激しい見応えある設定であったが、マスタークラスで
セクションアウト出来たのは長屋を含め4名の選手だけだったため、競技終了直後の長屋
には観客から大きな拍手が寄せられた。

結果は7年連続を含む8回のチャンピオン獲得を誇るセサール・カニャスが優勝、2位は
昨年のマスタークラスチャンピオンのベン・サベージ。長屋はベン・サベージと同一減点数
ながら、クリーンの数で劣り3位となった。


リザルトだけを見れば、世界の頂点まであと僅かな距離に見えるが、各選手は知力・体力
・機材・戦略、いずれも限界まで使い切った壮絶な試合であった。
「あと1点足つきが少なければ」という声が聞こえそうだが、全ての足着きに理由が有り
「たら、れば」を語る余地は無い。

自転車とモーターサイクル、いずれもトライアルは『知略のスポーツ』と呼ばれ、選手の心身・
機材・戦略・マインダー(ゴルフのキャディのような役割)、これら全てが勝敗の要素になる。
スペインとスロバキアの選手団は母国出発時点からチームとしてまとまって行動し、専属の
監督・マインダー・メカニックらが帯同し、競技が始まれば勝たせたいエースライダーの直前に
同国同カテゴリーの新人選手を走らせ、その成功と失敗を参考にして使うテクニックを決めて
から走っていた。
その徹底した戦略の効果は選手個人の成績のみならず、国別対抗の成績にも現われている。

長屋の今回の遠征はマインダー1人が帯同するだけの最小限の体制であった。
また日本からの移動には空路を選択せざるを得ないので持参するスペアパーツや工具も
最小限であり、競技前から多勢に無勢の戦いに臨まざるを得なかった。
以上のような背景からみれば、長屋の3位(国際マスタークラスでは日本人初。)獲得は
大いに快挙と言える。


次回、第2戦の日本大会は長屋の故郷にして幼少からの練習場所である岐阜県関市板取
にて開催されます。
国際マスタークラスの誰よりも板取の地形と特徴を知り、実家や自宅からのアクセスも容易な
長屋には地の利が有り、第1戦以上の順位や総合ランキング獲得の可能性は残されています。
板取での長屋とGIANT TRIALS PROの活躍を是非会場で応援お願いいたします。
 

■結果
マスタークラス
1. Canas Cesar    減点12 (クリーン=16) -SPAIN MONTY
2. Savage Ben    減点17 (クリーン=14) -UK KOXX
3. Nagaya Yoshimasa 減点17 (クリーン=10) -JAPAN GIANT

青木卓也のBLOG

門田基志のBLOG